コラム

効果的な株主間契約書の基本と注意すべき作成ポイントとは?

 株主間契約書は、企業の株主同士が相互の権利や義務、そして会社の運営に関する事項を明確に規定する重要な文書です。特に中小企業やスタートアップ企業では、株主間の合意を書面化し、将来の紛争を未然に防ぐために株主間契約書の作成が推奨されます。この記事では、効果的な株主間契約書を作成するための基本的なポイントと、注意すべき事項について、事例や具体例を交えながら詳しく解説します。

 

1. 株主間契約書の基本的な構成要素

 株主間契約書は、以下の基本的な要素で構成されます。

  • 当事者の明示: 契約書の当事者となる株主の詳細な記載。氏名、住所、保有する株式の割合などを明確にします。
  • 契約の目的: 契約書が規定する株主間の主要な合意事項。例えば、株主間の投票権の行使方法、経営権の行使方法、重要な意思決定に関する取り決めなどが含まれます。
  • 条件と規制: 株主の権利と義務、株式の譲渡制限、機密情報の取り扱い、競業禁止条項などの規定が含まれます。これらの条項は、株主間の関係を明確にし、紛争を予防する役割を果たします。
  • 争議解決手続き: 紛争が発生した場合の解決手続きや仲裁の方法についての規定が含まれます。例えば、裁判所での解決や仲裁裁判所での裁定を受け入れることが含まれることもあります。

 これらの要素を明確に定めた株主間契約書は、会社の株主同士の関係を明確にし、将来的なトラブルのリスクを低減させる役割を果たします。

 

2.株主間契約書の注意すべき作成ポイント

 効果的な株主間契約書を作成する際には、以下のポイントに特に注意する必要があります。

  • 具体性と明確さ: 契約書の条文は具体的で明確であるべきです。曖昧な表現や解釈の余地がある記述は、将来的な紛争の原因となる可能性があります。例えば、「甲乙協議の上合意した時期に」という表現よりも、「毎年3月31日までに」という具体的な期限を設けることが好ましいです。
  • 全株主の同意: 株主間契約書は、すべての株主が同意した上で作成されるべきです。一部の株主のみが同意している契約書は、法的な意味において不安定になってしまう可能性があります。全株主が合意した契約書は、全員がその内容に拘束されるという法的な安定感を提供します。
  • 専門家の助言: 法務アドバイザーや行政書士等の助言を仰ぎながら、契約書を作成することが推奨されます。特に法的な解釈や現地の規制に関する専門知識が必要です。専門家のアドバイスを受けることで、契約書の内容が法的に正確であり、かつ会社の特定のニーズに適合したものになるでしょう。
  • 定期的な見直し: 会社の状況や法的な規制が変わるたびに、株主間契約書を定期的に見直し、必要に応じて更新することが重要です。新たな株主が加わった場合や、会社の事業展開に変化があった場合には、契約書の見直しを行うことで、最新の状況に即した契約書を維持することができます。

 

3. 事例とフラット法務事務所からのコメント

 以下に具体的な事例とそれに対するコメントを示します。

 

事例1: 株主間の機密情報の取り扱いに関する問題

 あるテクノロジースタートアップ企業で、新たな技術開発の進捗状況についての機密情報がリークしてしまったという問題が発生しました。株主間契約書には、機密情報の取り扱いに関する厳格な規定を設けることが重要です。具体的には、情報へのアクセス制限、機密情報の定義、情報の取り扱いに関する義務、および違反時の罰則措置を明確にすることで、技術の安全性を保ち、企業の競争力を維持することができます。

フラット法務事務所からのコメント
機密情報の取り扱いに関する規定が契約書に適切に盛り込まれていることは、テクノロジースタートアップ企業において極めて重要です。特に知的財産の保護が競争の鍵となる業界では、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることが必要です。契約書がこれを実現し、株主間の信頼関係を維持しながら技術の発展に貢献することでしょう。
事例2: 株主間での投票権の行使に関する紛争

 成長中の中小企業で、重要な意思決定において、株主間で異なる意見が生じ、合意に至らない状況が発生しました。このような場合、株主間契約書には投票権の行使に関する明確な手続きを設けることが効果的です。例えば、決定すべき事項についての過半数決定ルールを明確に定め、議論を円滑に進めるための仕組みを作ることが重要です。(会社法上で決められている場合もあります。)

フラット法務事務所からのコメント
投票権の行使に関するルールが明確に定められている株主間契約書は、企業の運営において重要な方針決定を円滑に行うための基盤を提供します。特に成長段階にある企業では、意思決定の速度と正確さが競争力を左右する要素となります。このような紛争を未然に防ぐために、契約書には投票権の行使に関する具体的な事項を明記しておいても良いと思慮いたします。

 

事例3: 株主間の株式譲渡制限に関する問題

 ある中小企業で、株主の一人が他社との合併交渉を進めていることが発覚し、他の株主から株式譲渡の制限を求める要望が出されました。このような場合、株主間契約書には株式譲渡の制限や承認手続きに関する規定が重要です。例えば、株主全員の同意が必要な場合や、特定の事由を満たす場合にのみ譲渡が許可されるような条項を設けることで、企業の方針を守りながら株主間の不正競争を防ぐことができます。(会社法上で決められている場合もあります。)

フラット法務事務所からのコメント
株主間契約書における株式譲渡制限の規定は、企業の戦略的な方向性を守るために極めて重要です。特に競争激化の中で、企業の価値を維持し、成長を促進するためには、株主間の合意なくして重要な意思決定がなされることを避ける必要があります。契約書がこれを実現し、企業の安定的な発展に寄与することでしょう。

 

4. 株主間契約書の重要性と将来への影響

 株主間契約書は、企業の株主間の関係を規定するためだけでなく、将来の成長と持続可能な発展にも大きな影響を与えます。以下に、その重要性と将来への影響について詳述します。

  • 信頼関係の構築: 株主間契約書が明確で公平な条件を提供することで、株主同士の信頼関係を構築することができます。透明性と公正性は、株主が企業の成長戦略に対して共感し、積極的に支援することに繋がります。
  • リスク管理と争議防止: 契約書が予期せぬ紛争や意見の相違を予防するための手段として機能します。特に投票権の行使や重要事項に関する合意が明確に規定されていることで、紛争のリスクを最小限に抑えることが可能です。
  • 成長戦略の実行: 契約書が株主間の意思決定プロセスを効率化し、迅速な戦略的決断を促進することができます。新たな投資家の参加や企業買収などの重要な決定において、契約書が明確な枠組みを提供することで、企業の成長戦略を円滑に実行する支援を行います。

 

5.まとめ

 効果的な株主間契約書の作成は、企業の長期的な成功に不可欠な要素です。具体的な事例やコメントを通じて、株主間契約書がどのように企業の安定性と成長を支えるかを理解することが重要です。法的な専門知識と実務経験を持つ専門家のアドバイスを活用しながら、企業の特定のニーズに応じたカスタマイズされた契約書を作成することが推奨されます。これにより、会社の株主間の関係が強化され、持続可能な運営が確保されるでしょう。

 

 

*記事内の事例(ケース)については、行政書士法人フラット法務事務所で経験したものだけでなく想定ケースも含まれ、実際の事例とは異なることがあります。

 

 

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