コラム

景品表示法ガイドライン徹底解説!企業が知っておくべきポイント

 景品表示法は、消費者を欺く不当な表示や景品の提供を規制し、公正な取引を促進するための法律です。この法律に基づくガイドラインは、企業が広告や販促活動を行う際に遵守すべき基準を示しています。本記事では、企業が知っておくべき景品表示法ガイドラインのポイントを、多くの事例やコメントを交えながら徹底解説します。

 

 

1.景品表示法の基本

 景品表示法は、主に以下の3つの行為を規制しています。

  1. 不当な表示:商品の品質、内容、価格、取引条件などについて、実際よりも優れていると誤認させる表示。
  2. 不当な表示の類型:優良誤認表示、有利誤認表示、その他不当表示。
  3. 不当な景品類の提供:取引に際して不当に高額な景品を提供する行為。

 

2.ガイドラインのポイント

 ガイドラインでは、具体的な表示の仕方や景品の提供方法について詳細に説明されています。以下にその主要なポイントを示します。

2.1. 優良誤認表示

 優良誤認表示とは、商品の品質や性能について、実際よりも著しく優れていると消費者に誤認させる表示です。例えば、「このサプリメントを飲むだけで痩せる」といった根拠のない健康効果を謳う広告は優良誤認表示に該当します。

事例:ある健康食品メーカーが「このサプリメントで1週間で5キロ痩せる!」と広告を出したところ、実際にはその効果を証明するデータが存在しないことが発覚しました。この表示は優良誤認表示とされ、同メーカーには景品表示法に基づく措置が取られました。

フラット法務事務所からのコメント
 消費者の信頼を守るためには、広告に使用する表現が科学的に裏付けられていることが重要です。根拠のない効果を謳うことは、消費者を欺く行為として厳しく取り締まられます。

 

2.2. 有利誤認表示

 有利誤認表示とは、商品の価格や取引条件について、実際よりも著しく有利であると消費者に誤認させる表示です。例えば、「期間限定セール」と謳いながら、実際には常に同じ価格で販売している場合がこれに該当します。

事例:ある家電量販店が「今だけ半額!」と広告を打ちましたが、実際にはその商品は常に同じ割引価格で販売されていました。この表示は有利誤認表示とされ、同店舗には罰金が科されました。

フラット法務事務所からのコメント
 期間限定や特別価格といった表示は、消費者に強い購買意欲を抱かせます。そのため、こうした表示に関しては特に慎重に取り扱う必要があります。

 

2.3. 景品類の提供制限

 景品類の提供制限は、過度な景品の提供を防ぐための規制です。また総付景品とは、特定の商品を購入した顧客全員に対して提供される景品のことです。景品の価値が高すぎると、消費者が景品目当てで商品を購入することになり、公正な競争が損なわれる恐れがあります。

事例:ある小売チェーンが、新規会員登録者に対して高額な景品を提供したところ、この行為が不当な景品類の提供として問題視されました。このケースでは、提供された景品の価値が規定を超えていたため、同チェーンには警告が発せられました。

フラット法務事務所からのコメント
 景品の提供は、消費者に対するインセンティブとして有効ですが、その価値が法的基準を超えると規制対象となります。適切な範囲内での提供が求められます。

 

2.4. 紹介者への謝礼

 紹介者への謝礼も景品表示法の規制対象となります。紹介によって新規顧客を獲得するための謝礼が高額すぎる場合、不当な景品類の提供と見なされる可能性があります。紹介制度は、適正な範囲内で運用することが重要です。

事例:あるフィットネスクラブが、紹介者に対して高額なキャッシュバックを提供していました。この謝礼が不当に高額であると判断され、クラブには是正措置が求められました。

フラット法務事務所からのコメント
 紹介制度は、顧客獲得の有効な手段ですが、謝礼が高額すぎると法律違反となるリスクがあります。適切な範囲での設定が必要です。

 

2.5. キャンペーンの適正運用

 企業が実施するキャンペーンも景品表示法の規制対象です。キャンペーンにおける景品の提供や広告表示に関しては、法的な基準を遵守することが求められます。キャンペーンの内容や実施方法については、事前に法的リスクを十分に検討する必要があります。

事例:あるオンラインショップが「購入金額に応じて豪華景品が当たるキャンペーン」を実施しましたが、景品の価値が規定を超えていたため、同ショップには警告が発せられました。

フラット法務事務所からのコメント
キャンペーンは消費者の関心を引き、売上を伸ばすための有力な手段ですが、法律を遵守しないと逆効果になることがあります。適正な範囲での運用が重要です。

 

2.6. 二重価格表示

 二重価格表示とは、通常価格と割引価格を併記する表示方法のことです。この表示は、実際には割引価格が通常価格である場合や、通常価格が根拠のない価格である場合、不当表示と見なされます。

事例:ある家具店が「通常価格から50%オフ!」と広告を出しましたが、通常価格が実際には根拠のない価格であったため、二重価格表示として問題視されました。

フラット法務事務所からのコメント
 二重価格表示は、消費者に割引の大きさを強くアピールする手段ですが、その表示が正確であることが求められます。根拠のない価格表示は法律違反となります。

 

2.7. インタビュー報酬

 インタビュー報酬とは、顧客や第三者に対してインタビューに応じてもらうために支払われる報酬のことです。この報酬が高額すぎると、不当な景品類の提供と見なされる可能性があります。

事例:ある企業が、インタビューに応じた消費者に高額な報酬を支払っていたところ、この報酬が不当に高額であると判断され、行政指導を受けました。

フラット法務事務所からのコメント
 インタビュー報酬は、消費者の意見を収集するための手段として有効ですが、その金額が適正であることが重要です。過度な報酬は法律違反となるリスクがあります。

 

2.8. 満足度(No1表示)

 満足度やNo1表示とは、自社の商品やサービスが消費者に最も満足されていることを示すための表示です。しかし、この表示が根拠のないものであったり、調査方法が不適切であった場合、不当表示と見なされる可能性があります。

事例:ある飲料メーカーが「顧客満足度No1!」と広告を出しましたが、その調査方法が不適切であったため、行政指導を受けました。

フラット法務事務所からのコメント
 満足度やNo1表示は、消費者にとって信頼性の高い情報とされますが、その表示が適切であり、根拠があるものであることが求められます。

 

2.9. 比較表示(競争事業者)

 比較表示とは、自社の商品やサービスを他社のものと比較して優れていることを示す表示です。この表示が公平でない場合や、他社を誹謗中傷する内容である場合、不当表示と見なされる可能性があります。

事例:ある家電メーカーが「他社製品と比べて省エネ性能が2倍!」と広告を出しましたが、その比較方法が不適切であったため、行政指導を受けました。

フラット法務事務所からのコメント
 比較表示は、自社の優位性をアピールする有力な手段ですが、その表示が公正であり、根拠があるものであることが求められます。

 

3.ガイドラインに基づく広告作成のポイント

 景品表示法ガイドラインに基づく広告作成の際には、以下の点に注意することが重要です。

  1. 表示内容の正確性:広告に記載する情報は、事実に基づいていることを確認しましょう。根拠のない効果や性能を謳うことは避けるべきです。
  2. 価格表示の明確化:価格や割引情報を表示する際には、その条件や期間を明確に示しましょう。消費者が誤解しないような工夫が必要です。
  3. 景品(総付景品)の適正提供:景品を提供する場合、その価値が法的基準を超えないように注意しましょう。過度な景品提供は規制対象となります。
  4. 紹介者謝礼の適正化:紹介制度の謝礼も景品表示法の規制対象であるため、過度な謝礼は避け、適正な範囲内での提供を心掛けましょう。
  5. キャンペーンの適正運用:キャンペーンの景品や表示内容についても法的基準を守り、消費者に誤解を与えないように注意しましょう。
  6. 二重価格表示の適正化:通常価格と割引価格の表示が正確であることを確認しましょう。
  7. インタビュー報酬の適正化:インタビュー報酬の金額が適正であることを確認しましょう。
  8. 満足度表示の適正化:満足度やNo1表示が根拠に基づいていることを確認しましょう。
  9. 比較表示の適正化:比較表示が公正であり、根拠に基づいていることを確認しましょう。

 

4.行政の罰則

 景品表示法違反に対する行政の罰則は厳しく、企業に対して多大な影響を及ぼす可能性があります。主な罰則には以下のものがあります。

  1. 措置命令:消費者庁は、不当表示や不当景品提供を行った企業に対して措置命令を出すことができます。これは、違反行為を是正するための命令であり、違反企業は広告の取り下げや訂正表示を行う必要があります。
  2. 罰金:措置命令に従わない場合、企業には罰金が科されることがあります。罰金額は違反の程度に応じて決定されますが、最大で3億円(事業者)の罰金が科されることもあります。
  3. 公表:違反企業の名称や違反内容は公表されることがあり、企業の信用に大きなダメージを与えることがあります。消費者庁のウェブサイトやプレスリリースを通じて広く知られることになります。
  4. 刑事罰:悪質な違反行為に対しては、刑事罰が(懲役2年以下)科されることもあります。これは企業の経営者や関係者が逮捕され、裁判にかけられることを意味します。
フラット法務事務所からのコメント
 景品表示法違反は、企業にとって重大なリスクです。違反が発覚すると、罰金や措置命令だけでなく、企業の信用にも大きな影響を与えます。法令遵守の徹底が求められます。

 

5.まとめ

 景品表示法ガイドラインは、消費者を守り、公正な取引を促進するための重要な基準です。企業がこれを遵守するためには、正確な表示や適正な景品提供を行うことが求められます。法令違反を未然に防ぐために、社内教育の徹底やチェック体制の強化が必要です。本記事で紹介したポイントや事例を参考に、景品表示法ガイドラインを遵守した広告作成を心がけましょう。

これにより、企業は消費者の信頼を獲得し、健全な市場競争を維持することができるでしょう。

 

*記事内の事例(ケース)については、行政書士法人フラット法務事務所で経験したものだけでなく想定ケースも含まれ、実際の事例とは異なることがあります。また、関係法令は記載した時点のものです。

 

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