コラム

株主総会議事録の記載事項を徹底解説!作成時に知っておくべき注意点

 株主総会は企業にとって重要な意思決定の場であり、その議事録は法的な証拠としての役割を果たします。適切な議事録の作成は、企業運営の透明性と信頼性を確保するために不可欠です。本記事では、株主総会議事録に記載すべき事項と、その作成時に留意すべき注意点について、事例や実務経験を交えながら詳しく解説します。

 

 

1. 株主総会議事録の法的基盤

会社法の規定
会社法第318条により、株主総会議事録の作成は法的に義務付けられています。議事録は総会の終了後、10年間の保存が義務付けられており、これに違反した場合、代表取締役や取締役に対して罰則が科されることもあります。

 

2. 株主総会議事録に記載すべき基本事項

日時・場所
議事録には、株主総会の開催日時と場所を正確に記載する必要があります。特に場所の記載に関しては、実際の会場だけでなく、オンラインで開催された場合もその形式を明記することが重要です。

出席者
株主総会に出席した株主の人数とその持株数、また、取締役や監査役などの役員の出席状況も記載しなければなりません。たとえば、オンライン総会の場合は、出席者の確認方法を明記することが実務上のポイントとなります。

議題と決議内容
議事録には、総会で取り上げられた議題とその決議結果を明確に記載します。この際、議決権行使の結果や反対意見があった場合は、その内容も具体的に記録しておくことが求められます。

議長と書記の氏名
総会の議長と議事録を作成した書記の氏名も明記する必要があります。議長は通常、代表取締役が務めることが一般的ですが、他の取締役が議長を務める場合もあります。書記については、総会後の責任が発生するため、その選定には慎重さが求められます。

 

3. 実務上の注意点

正確な議決権行使の記録
議事録には、議決権行使の結果を正確に記載することが求められます。具体的には、賛成、反対、保留の票数を明確に記載することが重要です。例えば、ある企業では、議決権の集計ミスが発覚し、後日訂正報告を行った事例があります。これにより、企業の信頼性が損なわれるリスクがあるため、集計作業は慎重に行うべきです。

異議や反対意見の記録
株主総会で異議や反対意見が出た場合、その内容を詳細に記録しておくことが重要です。特に、少数株主の意見が法的な争点となる可能性がある場合、後々のトラブルを避けるためにも、反対意見の記載は必須です。過去に、反対意見を無視した議事録が裁判で争われた事例もあり、企業にとって大きなリスクとなる可能性があります。

総会運営方法の明記
近年、コロナ禍を契機にオンラインでの株主総会が増えています。このような場合、オンライン総会の運営方法や投票の方法を議事録に明記することが必要です。例えば、ある企業では、オンライン投票の技術的なトラブルが発生したため、その対策方法を議事録に記載しておくことで、後のトラブルを防止しました。

 

4. 事例から学ぶ議事録作成のポイント

事例1: 出席者の確認ミス
ある中堅企業では、株主総会での出席者の確認において、実際には出席していなかった株主が記載されるミスが発生しました。このミスは、後に株主からのクレームにつながり、議事録の訂正と説明が必要になりました。出席者の確認は、特にオンライン総会での問題となりやすいため、慎重な対応が求められます。

事例2: 議決権行使の不正確な記載
別の企業では、議決権行使の集計結果が議事録に誤って記載され、後日訂正が必要になったケースがあります。このような事態は、株主の信頼を損なう原因となるため、議決権行使の結果を正確に記録する体制を整えることが重要です。

事例3: 反対意見の記録漏れ
株主総会で反対意見が出たにもかかわらず、それが議事録に記載されていなかった事例もあります。このケースでは、後日株主からの異議申し立てがあり、結果的に議事録の信頼性が揺らぐ事態となりました。反対意見や異議の記録は、法的な保護の観点からも重要です。

 

5. 株主総会議事録の押印について

会社法の規定に基づく押印の必要性
会社法において、株主総会議事録に押印が必須であるという明確な規定はありません。ただし、登記申請を伴う場合や、会社の内部規程に基づく場合には押印が求められることがあります。

登記申請に関連する押印
具体的には、株主総会で役員変更などの重要な決議が行われ、その議事録をもとに法務局へ登記申請を行う際、議事録に代表取締役の押印が必要とされます。この際、法務局に提出する登記申請書類には代表者印が押印されることが一般的です。

内部規程に基づく押印
一部の企業では、会社法に加え、社内の規程として議事録に押印を求めることがあります。例えば、株主総会議事録に取締役や監査役の押印を行うことで、議事の承認と確認を正式に記録する意図があります。これにより、後に問題が生じた場合における法的保護の強化を図ることができます。

電子化と押印の省略
なお、近年では、会社法上でも一部の手続きにおいて電子署名が認められつつありますが、押印の省略が可能かどうかは、各企業の状況や法務局の対応に依存します。特に電子的な議事録が登記手続きで受け入れられるかどうかは、事前に確認が必要です。

押印に関する注意点
押印に関しては、適切な権限を持つ者が行うことが重要です。また、押印漏れや不適切な押印は、後々のトラブルの原因となるため、事前にしっかりと確認しておくことが求められます。

 以上をまとめると、会社法では、押印自体は義務付けられていないものの、登記申請時や内部規程により押印が求められることが多いです。会社法の規定と企業の内部規程を確認し、必要に応じて適切な押印手続きを行うことが、トラブルを防ぐために重要です。

 

6. 株主総会議事録のテンプレートと注意事項

テンプレートの活用
株主総会議事録を作成する際には、標準的なテンプレートを活用することが効率的です。ただし、各企業の実情や議題に応じて、テンプレートを柔軟にアレンジすることが求められます。

事前準備の重要性
議事録作成にあたっては、事前に必要な項目を整理し、当日の進行をスムーズに進めるための準備が重要です。特に、議事録作成担当者と議長との連携を密にしておくことで、記載漏れを防ぐことができます。

 

フラット法務事務所からのコメント
 株主総会議事録は単なる形式的な書類ではなく、企業の信頼性を左右する重要なドキュメントです。過去の経験から、特に異議や反対意見の記録漏れが後のトラブルを招くことが多いため、注意が必要です。

 

7. まとめ

 株主総会議事録は、企業運営の透明性と法的証拠としての重要な役割を果たします。適切な記載事項の理解と、実務上の注意点を踏まえて、正確かつ詳細な議事録を作成することが求められます。事例やコメントを参考に、日々の業務に活かしていただければ幸いです。また、押印が必要な場合には、そのルールをしっかりと確認し、適切な対応を行うことが重要です。

 

*記事内の事例(ケース)については、行政書士法人フラット法務事務所で経験したものだけでなく想定ケースも含まれ、実際の事例とは異なることがあります。また、関係法令は記載した時点のものです。

 

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