コラム

失敗しない!契約書リーガルチェックのチェックリスト

契約書は、ビジネスの取引において不可欠な文書ですが、その内容を適切に理解し、法的リスクを最小限に抑えるためには、綿密なリーガルチェックが必要です。特に、契約書には様々な条件や条項が含まれており、見落としがちな部分がリスクとなることがあります。本記事では、「失敗しない!契約書リーガルチェックのチェックリスト」を提供し、具体的な事例と共に契約書を確実にチェックするためのポイントを解説します。

以下に示すチェックリストは、契約書のリーガルチェックを行う際に参考になる項目です。各項目について、具体的な事例やコメントを交えながら詳細に解説します。

 

1. 契約書の全体構造を把握する

まず初めに、契約書全体の構造を把握することが重要です。契約書は通常、以下のような構成で作成されます。

  1. 前文(序文):契約の当事者と目的や背景を説明。
  2. 定義条項:契約書内で使用する専門用語や略語の定義。
  3. 義務条項:当事者の具体的な義務や権利を明記。
  4. 条件条項:契約の履行に関する条件や期限。
  5. 違反条項:契約違反時の対応やペナルティ。
  6. 終了条項:契約の終了条件や方法。
  7. その他:紛争解決条項、適用法、管轄裁判所など。

 

2. 契約の当事者と目的や背景の確認

2.1当事者の正確な記載

契約書に記載されている当事者の名称、住所、法的地位などが正確であることを確認します。

事例1: 不動産売買契約書
ある不動産売買契約書において、売主側の正確な法人名が記載されていなかったケースがあります。契約書では、売主が「株式会社ABC」という名称でしか記載されておらず、正確な法人登記簿上の名称や住所が抜け落ちていました。これにより、不動産の登記手続きや税金の支払いなどで問題が発生しました。実際の法人名と登記簿上の情報が正確に契約書に反映されていれば、これらの手続きにおけるトラブルを避けることができた可能性があります。

2.2契約の目的と背景

契約書の前文や序文で、契約の目的や背景を明確に理解し、記載内容が実際の取引内容と一致していることを確認します。

事例2: 製品供給契約書
ある製造会社と小売業者の間で締結された製品供給契約書において、契約の目的と背景が不十分であったケースがあります。契約書の前文や序文において、製品の供給条件や納品スケジュールに関する具体的な記載がなされておらず、双方の理解が不完全でした。この結果、製造会社と小売業者の間で納品遅延や品質問題が発生し、後に法的紛争に発展しました。契約書の目的と背景を明確にしておけば、初めから双方の期待や義務が明確になり、トラブルを避けることができた可能性があります。

3. 定義条項の確認

3.1重要用語の定義

契約書内で使用される重要な用語や略語が適切に定義されていることを確認します。

事例3:小売業者との契約
ある小売業者が新しい供給業者と契約を結んだ際、契約書の「定義条項」において「納期」という言葉の定義が不明確でした。この結果、供給業者が納品を遅延しても、契約違反として追求できない事態が発生しました。契約書の構造を把握し、各条項が明確に記載されていることを確認することの重要性が浮き彫りになった事例です。
事例4: 技術ライセンス契約書
技術ライセンス契約書において、「ライセンス料」の定義が不十分であり、後にライセンス供与者と受領者の間で誤解が生じました。契約書内で使用される用語は、明確に定義することが重要です。

 

4. 義務と権利の明示

4.1当事者の義務と権利

契約書に記載されている当事者の具体的な義務と権利が明確に示されていることを確認します。

事例5: 販売代理店契約書
販売代理店契約書において、代理店の販売目標と報酬体系が不明確であり、後に双方の間で紛争が発生しました。契約書において、当事者の義務と権利を明確に記載することで、このような問題を未然に防ぐことができます。

 

5. 条件条項の詳細な確認

5.1履行条件と期限

契約の履行に関する条件や期限が明確に記載されていることを確認します。

事例6: 建設請負契約書
建設請負契約書において、工期や工事完了の条件が具体的に記載されておらず、後に工期の遅延と納品の不履行が発生しました。条件条項を詳細に記載することで、契約の履行が円滑に進むようにすることが重要です。

 

6. 違反時の対応とペナルティ

6.1違反時の対応策とペナルティ

契約違反時の具体的な対応策やペナルティが明確に定められていることを確認します。

事例7: フランチャイズ契約書
フランチャイズ契約書において、ブランドの使用基準に違反したフランチャイジーに対する具体的なペナルティが定められていなかったため、ブランド価値が損なわれそうになりました。契約違反時の対応策とペナルティを明確に定めることで、ブランド保護が強化されます。

 

7. 終了条項の整備

7.1契約の終了条件と手続き

契約終了時の条件や手続きが明確に定められていることを確認します。

事例8: サービス提供契約書
サービス提供契約書において、契約終了時のデータの返還手続きが不十分であり、後にデータ管理の問題が発生しました。契約終了の条件と手続きを詳細に整備することで、こうしたリスクを未然に防ぐことができます。

 

8. その他の重要条項の確認

8.1紛争解決条項、適用法、管轄裁判所など

契約書に含まれるその他の重要な条項(例: 紛争解決手続き、適用法の選択、管轄裁判所の定めなど)が適切に設定されていることを確認します。

事例9: 国際取引契約
国際取引契約において、管轄裁判所や適用法が明確に定められていなかったため、紛争解決に時間がかかってしまうことが判明しました。契約書において、紛争解決手続きや管轄裁判所を適切に設定することが、国際取引におけるリスク管理の一環となります。

 

9.専門家の意見を取り入れる重要性

契約書のリーガルチェックは専門的な作業であり、法的リスクを最小限に抑えるためには、専門家の意見を取り入れることが不可欠です。特に、複雑な契約や高額な取引に関る場合は、専門家の助言を受けることで、契約書の内容をより正確に理解し、法的なリスクを事前に予測することができます。

事例10: M&A契約
企業間のM&A契約において、契約書の内容を自己判断で評価し、専門家のチェックを受けずに進めた結果、後に買収企業側が契約違反を主張され、法的紛争に発展しました。専門家の助言を受けることで、契約リスクを最小限に抑えることが可能です。

 

10.まとめ

契約書のリーガルチェックは、ビジネスの取引において極めて重要な役割を果たします。本記事では、「失敗しない!契約書リーガルチェックのチェックリスト」と題し、契約書の各項目における確認ポイントと具体的な事例を通じて、リスクを回避するための方法を詳述しました。

ビジネスの現場では、契約書の作成や解釈が極めて重要な役割を果たします。チェックリストの各項目を見ながら契約書の内容を徹底的に確認し、法的リスクを最小限に抑えることが、ビジネス成功につながる一要素となります。また、専門家の意見を取り入れることで、契約書の内容をより深く理解し、安全性を確保することができます。

契約書のリーガルチェックは、一度きりの作業ではなく、ビジネス環境の変化や法的要件の変更に応じて定期的に行う必要があります。定期的なチェックを通じて、契約の内容を最新化し、リスク管理を徹底することが重要です。

最後に、本記事で紹介したチェックリストを参考にしながら、契約書のリーガルチェックを行い、ビジネスの安全性と成功に向けて努めていただければ幸いです。

 

 

*記事内の事例(ケース)については、行政書士法人フラット法務事務所で経験したものだけでなく想定ケースも含まれ、実際の事例とは異なることがあります。

 

 

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