コラム

土地使用貸借契約書と土地賃貸借契約書の違いとは?わかりやすく解説!

 土地を借りる際に利用される契約には、「土地使用貸借契約書」と「土地賃貸借契約書」があります。これらは一見似ていますが、契約の内容や法的な拘束力に大きな違いがあります。今回は、これらの契約の違いについて、借地借家法の観点からも解説し、事例や専門家としてのコメントを交えながら詳しく説明します。

 

 

1. 土地使用貸借契約書とは

 土地使用貸借契約書は、土地の所有者(貸主)が借主に対して、無償で土地を使用させる契約です。この契約は、主に親族間や信頼関係のある友人同士で利用されることが多く、無償であるため、貸主に特定の法的義務は生じにくいのが特徴です。

事例1: Aさんが自分の所有する土地を、友人Bさんに農地として利用させる場合、土地使用貸借契約書が利用されます。Bさんは無償で土地を使用できるため、経済的な負担はありませんが、契約が終了した場合には、直ちに土地を返還する義務があります。

フラット法務事務所からのコメント
 土地使用貸借契約は、貸主と借主の間に強い信頼関係が必要ですが、無償であるため、契約内容が曖昧になりやすく、トラブルが生じることもあります。また、土地使用貸借契約の場合、貸主は賃料を受け取らないため、所得税や住民税は発生しません。ただし、固定資産税は引き続き貸主が支払う必要があります。

 

2. 土地賃貸借契約書とは

 土地賃貸借契約書は、土地の所有者が借主に対して、賃料を支払うことで土地を使用させる契約です。この契約は、商業的な目的や長期間の土地利用を前提として利用されます。賃貸借契約は有償であるため、双方の権利や義務が明確に定められるのが特徴です。

事例2: Cさんが所有する土地を、企業D社が駐車場として利用する場合、土地賃貸借契約書が利用されます。D社は毎月一定の賃料をCさんに支払うことで、その土地を商業的に利用する権利を得ます。契約期間や賃料の支払い義務が明確に定められているため、双方の立場が明確になります。

フラット法務事務所からのコメント
 土地賃貸借契約は、ビジネスにおいて重要な契約です。賃料の支払い義務や契約期間が明確に規定されているため、注意は必要ですがトラブルは未然に防ぐことが可能になり、長期的なビジネスの安定に寄与します。また、土地賃貸借契約では、貸主が賃料を受け取るため、この賃料収入に対して所得税や住民税が課税されます。さらに、一定の場合には、消費税も課税対象となります。貸主は、賃料収入に基づいて適切な確定申告を行う必要があります。

 

3. 借地借家法に基づく土地の賃貸借契約

 土地の賃貸借契約において、重要な法律の一つが「借地借家法」です。借地借家法は、借主(テナント)を保護するために制定された法律で、特に住宅や事業用建物の建設を目的とする土地の賃貸借契約に適用されます。

 この法律により、借地権が設定された土地を借りる際には、借主が強く保護されることになります。たとえば、借地権の契約期間は30年等(建物の有無や旧法等で異なります)であり、契約期間終了後も、借主が契約の更新をしたいと請求することも可能になり、貸主が正当な理由なく更新を拒否することはできません。

事例3: Eさんが所有する土地を、Fさんが住宅を建設するために借りた場合、この契約は借地借家法の適用を受けます。Fさんは借地契約期間中、その土地を使用し続ける権利があり、期間終了後も契約の更新を求めることができます。Eさんが更新を拒否するには、正当な理由が必要となります。

フラット法務事務所からのコメント
 借地借家法は、特に居住用や事業用の土地を借りる際に、借主の権利を強力に保護する法律です。貸主としては、この法律に基づいた適切な対応が求められます。

 

4. 土地使用貸借契約書と土地賃貸借契約書の違い

 土地使用貸借契約書と土地賃貸借契約書の最も大きな違いは、土地の使用が無償か有償かという点です。土地使用貸借契約は無償です。一方、土地賃貸借契約は有償です。また、どちらも契約書を用意することで、貸主借主双方の権利と義務が明確に定められます。

事例4: Gさんが自分の土地を無償でHさんに貸し出す場合、土地使用貸借契約書を用います。この契約では、Gさんに賃料の請求権はなく、Hさんが土地を使用することで発生する維持費やその他の費用を負担します。一方で、GさんがHさんから賃料を受け取りたい場合、土地賃貸借契約書が適用されます。この契約では、借主が毎月一定の賃料を支払うことで、その土地を使用する権利を得ることになります。

フラット法務事務所からのコメント
 どちらの契約を選ぶかは、土地の使用目的や貸主と借主の関係性に応じて決定する必要があります。また、借地借家法の適用がある場合、借主の権利が強く保護されるため、貸主としては慎重な対応が求められます。

 

5. 契約終了時の処理と借地借家法

 土地使用貸借契約と土地賃貸借契約の違いは、契約終了時の処理にも影響を与えます。土地使用貸借契約では、借主は無償で土地を使用していたため、契約が終了した場合には直ちに土地を返還する義務があります。一方、土地賃貸借契約では、借主が借地借家法に基づく権利を持っている場合、契約期間終了後も更新を要求する権利が認められていますが、契約が終了した場合には、原状に回復して返還しなければなりません。

事例5: Iさんが土地をJさんに無償で貸し出していた場合、契約終了時にはJさんはただちに土地を返還しなければなりません。しかし、借地借家法が適用される賃貸借契約の場合、Jさんは契約更新を求めることができ、正当な理由がない限り、Iさんはこれを拒否することはできませんが、契約が終了した場合には、原状に回復して返還しなければなりません。

フラット法務事務所からのコメント
 借地借家法に基づく土地の賃貸借契約では、借主の権利が強く保護されるため、契約終了時の対応が重要になります。特に貸主は、契約期間終了後の対応について、事前に十分な理解と準備が必要です。

 

6.まとめ

 土地使用貸借契約書と土地賃貸借契約書は、土地の利用に関して異なる性質を持つ契約です。土地使用貸借契約は無償であり、主に信頼関係に基づく契約です。一方、土地賃貸借契約は有償であり、特に商業的な利用や借地借家法の適用を受ける契約では、借主の権利が強く保護されます。

 借地借家法は、土地賃貸借契約において借主の権利を保護する重要な法律であり、特に居住用や事業用の土地の賃貸借契約に適用されます。この法律に基づき、借主は契約更新の権利を持ち、貸主がこれを拒否するには正当な理由が必要です。

 契約を結ぶ際には、これらの法律や契約の性質を十分に理解し、双方が納得のいく形で契約を締結することが、トラブルを未然に防ぐための鍵となります。

 

*記事内の事例(ケース)については、行政書士法人フラット法務事務所で経験したものだけでなく想定ケースも含まれ、実際の事例とは異なることがあります。また、関係法令は記載した時点のものです。

 

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