コラム

フランチャイズ解約合意書:作成時のポイントと注意事項

 フランチャイズ契約の解約は、ビジネスの一環として避けられない場合があります。しかし、その解約がスムーズに進まないと、法的なトラブルや経済的な損失を招く可能性があります。そこで重要になるのが「フランチャイズ解約合意書」です。本記事では、多くの事例やコメントを交えながら、フランチャイズ解約合意書を作成する際のポイントと注意事項、そして解約の流れについて詳しく解説します。

 

 

1. フランチャイズ解約合意書の重要性

 フランチャイズ解約合意書は、フランチャイザー(本部)とフランチャイジー(加盟店)の双方が合意の上で契約を解約する際に作成される書面です。この合意書は、解約に伴う条件や義務を明確にし、後のトラブルを防ぐために非常に重要です。

 実際の事例では、フランチャイズ契約を口頭で解約したために、後に契約違反として法的なトラブルに発展したケースがあります。このような問題を避けるためにも、必ず書面での合意が必要です。

 

2. 合意書作成の基本ポイント

a. 当事者の特定

 合意書には、フランチャイザーとフランチャイジーの正式な名称と住所を明記します。これは、後に法的効力を持つために必要な情報です。

b. 解約の理由と背景

 解約の理由や背景を明確に記載します。例えば、ビジネスの方向性の違いや市場環境の変化などが挙げられます。

c. 解約日とその後の対応

 解約日を明確にし、それ以降の対応について具体的に記載します。例えば、在庫の処理方法や店舗の撤退スケジュールなどです。

d. 残存義務の明記

 解約後も守らなければならない義務がある場合、それを明記します。例えば、機密保持義務や競業避止義務などです。

e. 金銭的な取り決め

 解約に伴う金銭的な取り決めも重要です。解約金や違約金の有無、支払い方法と期限などを詳細に記載します。

f. 清算条項

 清算条項は、解約に伴う未払金や債務の整理方法を明確にするために必要です。これには、解約時点での未払金の精算方法や、その支払い期限などが含まれます。これにより、双方が清算に関して合意し、後の金銭的なトラブルを防ぐことができます。

g. その他の重要事項

 その他にも、解約に伴う具体的な取り決め事項を明記します。例えば、商標やブランドの使用停止、販促物の返却などです。

 

3. 解約の流れ

 フランチャイズ契約の解約には、いくつかのステップがあります。これらのステップを順を追って進めることで、スムーズな解約が可能になります。

a. 解約の意向を通知する

 まず、解約の意向をフランチャイザーまたはフランチャイジーに通知します。この通知は、書面で行うことが望ましく、解約の理由と希望する解約日を明記します。

b. 解約条件の協議

 次に、解約の条件について双方で協議します。ここでは、解約金や未払金の清算、残存義務などについて具体的に話し合います。

c. 合意書の作成

 協議がまとまったら、解約合意書を作成します。合意書には、前述の基本ポイントや協議で決定した条件を盛り込みます。

d. 合意書の確認と署名

 作成した合意書を双方で確認し、内容に同意した上で署名します。署名の際には、署名者の身分証明書を確認することが推奨されます。

e. 解約手続きの実行

 合意書に基づき、実際の解約手続きを進めます。店舗の閉鎖や在庫の処理、ブランドの使用停止などが具体的な手続きとなります。

f. 清算手続き

 清算条項に従い、未払金や債務の整理を行います。これには、解約金の支払い、未払のロイヤルティや商品代金の精算などが含まれます。

g. 事後のフォローアップ

 解約手続きが完了した後も、残存義務の履行やトラブルの防止のために、定期的なフォローアップを行うことが重要です。

 

4. 合意書作成時の注意事項

4.1. 専門家のアドバイスを受ける

 フランチャイズ解約合意書は法的な文書であり、その内容によっては法的なトラブルを防ぐことができる一方で、内容が不十分だとトラブルの原因となる可能性もあります。そのため、合意書を作成する際には、行政書士や弁護士などの専門家のアドバイス受けることも重要です。

 実際のケースでは、法的な助言を受けずに合意書を作成し、その内容が不明確だったために、後に大きな問題となった事例があります。例えば、解約後の競業避止義務について曖昧な記載があり、元フランチャイジーが近隣で同様のビジネスを始めたために、元フランチャイザーとの間で訴訟に発展したケースです。

4.2. 双方の合意を確認する

 合意書は、フランチャイザーとフランチャイジーの双方が合意の上で作成するものです。そのため、一方的に作成された書面ではなく、双方が納得の上で内容を確認し、署名・捺印することが重要です。

 ある事例では、フランチャイザーが一方的に合意書を作成し、フランチャイジーに署名を求めたために、フランチャイジーが不満を抱き、合意書の内容に異議を申し立てたケースがあります。このようなトラブルを避けるためにも、双方の合意をしっかりと確認することが大切です。

4.3. 将来的なリスクを考慮する

 合意書には、将来的に起こりうるリスクを考慮した内容を盛り込むことが重要です。例えば、解約後のビジネスの継続や競業避止義務の期間、範囲などについて具体的に記載する必要があります。

 実際の事例では、解約後の競業避止義務について明確な取り決めがなかったために、元フランチャイジーが近隣で同様のビジネスを開始し、元フランチャイザーとの間で法的なトラブルに発展したケースがあります。このようなリスクを避けるためにも、将来的なリスクを考慮した内容をしっかりと盛り込むことが大切です。

 

5. 合意書の事例とコメント

事例1: 解約後の競業避止義務

 あるフランチャイズ契約では、解約後に元フランチャイジーが同一地域で同様のビジネスを行わないことを約束する競業避止義務が含まれていました。この義務は、元フランチャイザーが同地域での競争を避けるために重要です。しかし、この義務が不明確であったために、元フランチャイジーが近隣で新たなビジネスを開始し、法的なトラブルに発展しました。

フラット法務事務所からのコメント
 解約後の競業避止義務は、具体的な期間や範囲を明確にすることが重要です。専門家の助言を受けながら、詳細な内容を合意書に盛り込むことをお勧めします。

 

事例2: 解約に伴う金銭的取り決め

 別の事例では、フランチャイズ契約の解約に伴い、解約金や違約金の支払いが発生しました。しかし、その金額や支払い方法について具体的な取り決めがなかったために、後に支払いを巡るトラブルが発生しました。

フラット法務事務所からのコメント
 解約に伴う金銭的な取り決めは、具体的な金額や支払い方法を明確に記載することが重要です。また、支払い期限や遅延損害金の有無についても明確にすることで、トラブルを防ぐことができます。

 

事例3: 残存義務の明記

 あるフランチャイズ契約の解約後、元フランチャイジーが解約前に知り得た機密情報を漏洩したために、元フランチャイザーが大きな損害を被りました。このケースでは、機密保持義務が合意書に明記されていなかったために、法的な措置を取ることが困難でした。

フラット法務事務所からのコメント
 解約後の機密保持義務やその他の残存義務は、明確に合意書に記載することが重要です。これにより、後のトラブルを防ぐことができます。

 

事例4: 清算条項の明確化

 あるフランチャイズ契約の解約時、未払金や債務の整理が不明確であったために、解約後に金銭的なトラブルが発生しました。具体的には、未払のロイヤルティや商品代金について双方で認識が異なり、法的な争いに発展しました。

フラット法務事務所からのコメント
 解約時には、未払金や債務の整理を明確にする清算条項を合意書に含めることが重要です。これにより、金銭的なトラブルを未然に防ぐことができます。

 

6. まとめ

 フランチャイズ解約合意書の作成は、フランチャイザーとフランチャイジー双方にとって重要なプロセスです。専門家の助言を受けながら、具体的で詳細な内容を合意書に盛り込むことで、後のトラブルを防ぎ、スムーズな解約を実現することができます。

 フランチャイズ契約の解約を検討している方は、ぜひ専門の行政書士や弁護士に相談し、適切な合意書を作成することをお勧めします。

 

*記事内の事例(ケース)については、行政書士法人フラット法務事務所で経験したものだけでなく想定ケースも含まれ、実際の事例とは異なることがあります。また、関係法令は記載した時点のものです。

 

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