コラム

肖像権使用同意書を作成する際の必要事項リスト-契約法務専門家の行政書士

 肖像権使用同意書は、写真や動画などのメディアに人物の肖像を使用する際に、被写体から同意を得るための重要な文書です。特に、商業目的で使用する場合や、インターネット上で公開する場合には、その重要性が一層高まります。この記事では、肖像権使用同意書を作成する際に必要な事項について、事例や専門家としてのコメントを交えて詳しく解説します。

 

 

1. 基本情報の記載

構成要素:

  • 被写体の氏名(フルネーム)
  • 住所
  • 連絡先(電話番号、メールアドレスなど)
  • 生年月日(未成年の場合、保護者の同意が必要)

1. 被写体の同意

2. 使用目的の明確化

3. 使用期間

4. 使用範囲

5. 画像の修正と加工

6. 報酬と対価

7. 同意の撤回

8. 法的責任

 

2. 被写体の同意

 まず、最も基本的な要素として、被写体の同意が必要です。同意書には、被写体のフルネーム、住所、連絡先などの基本情報を記載します。また、同意を得るためには、被写体が理解しやすい言葉で内容を説明することが重要です。

事例: ある企業が新製品の広告用に一般の人々をモデルとして撮影しました。事前に全てのモデルに対して同意書を用意し、撮影内容と使用目的を詳細に説明したことで、トラブルを未然に防ぐことができました。

 

3. 使用目的の明確化

 同意書には、肖像が使用される目的を明確に記載する必要があります。広告、ウェブサイト、SNS、ポスターなど、具体的にどのように使用されるのかを明記することで、被写体が自分の肖像がどのように使われるのかを正確に理解できます。

フラット法務事務所からのコメント
 使用目的を明確にすることで、被写体に安心感を与えることができます。これにより、同意書にサインすることに対する抵抗感が少なくなりことが考えられるため、同意を得やすくなります。

 

4. 使用期間

 肖像が使用される期間も同意書に記載するべきです。無期限で使用するのか、特定の期間のみ使用するのかを明確にし、被写体がその期間に同意することを確認します。

事例: ある雑誌社がキャンペーン広告に使用する写真について、期間限定の使用を同意書に明記しました。この結果、被写体からの信頼を得ることができ、円滑な撮影が行われました。

 

5. 使用範囲

 肖像が使用される地理的な範囲も重要なポイントです。国内のみで使用するのか、国際的に使用するのかを明記します。特に、インターネットでの使用を考慮すると、国際的な使用についても言及することも考慮しても良いかもしれません。

フラット法務事務所からのコメント
 海外展開を視野に入れている場合、国際的な使用範囲についても同意書に含めることも考慮すべきです。これにより、後々の問題を避けることが可能になります。

 

6. 画像の修正と加工

 肖像権使用同意書には、画像の修正や加工についても触れる必要があります。例えば、写真の色調補正やトリミング、フィルターの使用などが含まれます。これにより、被写体がどの程度までの変更に同意しているのかを明確にします。

事例: あるファッションブランドがモデルの写真を加工する際に、事前に同意書に加工内容を記載しました。これにより、モデルとの信頼関係を築くことができ、ブランドイメージの向上につながりました。

 

7. 報酬と対価

 被写体に対する報酬や対価についても、同意書に記載することが重要です。現金報酬、商品提供、撮影データの提供など、具体的な内容を明記し、被写体がそれに同意することを確認します。

フラット法務事務所からのコメント
 報酬について明確にすることで、被写体とのトラブルを避けることができます。透明性を持つことで、信頼関係が強化されることに繋がります。

 

8. 同意の撤回

 被写体が同意を撤回する場合の手続きについても、同意書に記載します。同意の撤回がどのような条件で認められるのか、撤回に伴う影響についても説明します。

事例: ある教育機関が学生の写真を使用する際、同意の撤回手続きを同意書に記載しました。これにより、学生や保護者からの信頼を得ることができ、安心して写真を使用することができました。

 

9. 法的責任

 同意書には、肖像使用に関する法的責任についても触れる必要があります。被写体の権利を守るために、どのような措置が取られるのかを明確に記載します。

フラット法務事務所からのコメント
 法的責任について明確にすることで、被写体に対する誠実さを示すことができます。これにより、同意書にサインすることへの抵抗感が減少しました。

 

10. サインと日付

 署名欄に、被写体のサインと日付を記入してもらいます。これにより、同意書が正式なものであることを確認し、後々のトラブルを防ぐことができます。

 

11. 著作権について

 肖像権使用同意書には、肖像が使用される写真や動画の著作権についても明確に記載することが重要です。通常、写真や動画の著作権は撮影者に帰属しますが、使用に際しては被写体の同意が必要です。同意書には、この点についての説明と同意を得るための記述を含めます。

事例: あるプロのフォトグラファーが雑誌のために撮影した写真について、著作権の取り扱いを明確に同意書に記載しました。これにより、被写体との間での著作権に関するトラブルを防ぐことができ、円滑な写真使用が実現しました。

 

12. 肖像権の法的な考え方

 肖像権とは、個人の肖像が無断で撮影されたり、使用されたりしないように保護される権利です。肖像権の侵害は、プライバシー権やパブリシティ権の侵害と関連する場合が多く、法的には民法や判例を通じて保護されています。

法的根拠: 日本においては、明確な法規範としては存在しないものの、民法の不法行為に関する条項(第709条)や、判例を通じて肖像権の保護が図られています。例えば、著名人が無断で写真を使用されるケースでは、パブリシティ権が認められ、肖像権侵害として損害賠償を請求できることがあります。

肖像権侵害の例と対策:

  • 無断撮影:個人が公共の場所で無断で撮影された場合。
  • 無断使用:撮影された写真が本人の同意なく広告やウェブサイトで使用された場合。
  • 対策:肖像権侵害を防ぐためには、事前に同意を得ることが不可欠です。また、同意書に具体的な使用目的や範囲を明記し、被写体の理解と同意を得ることで、法的トラブルを防ぐことができます。

事例: ある企業がイベントの写真を無断で広告に使用し、参加者から肖像権侵害として訴えられた事例があります。企業は同意書を用意していなかったため、損害賠償を支払うこととなりました。この教訓から、企業は今後のイベントで同意書の徹底を図るようになりました。

 

12.まとめ

 肖像権使用同意書は、被写体の権利を守り、使用者が安心して肖像を使用するための重要な文書です。ここで紹介した必要事項をしっかりと同意書に盛り込み、適切な説明を行うことで、信頼関係を築き、円滑な肖像使用が可能になります。被写体とのコミュニケーションを大切にし、誠実な対応を心がけることが成功の鍵です。

 肖像権使用同意書の基本的な構成と著作権、肖像権の法的な考え方についても理解し、正確かつ詳細に記載することで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな運営を実現しましょう。

 

*記事内の事例(ケース)については、行政書士法人フラット法務事務所で経験したものだけでなく想定ケースも含まれ、実際の事例とは異なることがあります。また、関係法令は記載した時点のものです。

 

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